EPISODE GUIDE
ULTRA WORLD
第23話中編
by しぃさぁ
「スペクトルγ線発射!」
2号機からγ線が照射された。

そして3つの光線の照準がピタリと合い、その先には、
ついに見えないロケットがその姿を見せたのであった。

「見えないロケットが見えた!」
歓喜のイデ隊員。こうなればもう科特隊のモノだ。

「攻撃開始!」
ムラマツキャップの号令の下、2機のビートルは姿を現したロケットに砲撃を開始した。
「やつは逃げるぞ!」
アラシ隊員が叫んだ。
科特隊の砲撃を受けたロケットは、これは不利、と判断したのだろう。
エンジンを点火し、
火柱を立ててあわてて空へと舞い上がり、上空高くへと舞い上がった。

これを見たムラマツキャップは、
もう逃がしてはならないとばかりに総攻撃を指示した。
「撃て!撃て!!」
ビートルのレーザー砲がロケットを狙う。

それらに反撃しながら、ロケットは科特隊の攻撃から逃れようと必死だった。
「逃がすな!撃て!!」
「了解」
ムキになって叫ぶムラマツキャップに、
ハヤタ隊員も夢中でレーザー砲のボタンを押し続ける。

ついに、ビートルのレーザー砲がロケットに着弾した。
飛行不能に陥ったロケットは地上へと墜落。

さあここからは地上戦だ。
ビートルを着陸させ、地上に降りた科特隊は
手にしっかりとレーザーガンを握り締め、ロケットの主を追った。
ムラマツキャップを先頭に、科特隊は恐れることなく森林の奥深くに切り込む。



何が何でも決着をつける。
ムラマツキャップの気迫と執念がそこに表れていた。

突然木立が揺れ、奇怪な声が聞こえた。
ついにロケットの主が姿を現したのだ。
「あれは」
ムラマツキャップが叫び指差すその先には、
とてつもなく大きい怪物が、
見るに耐えないおぞましい姿を晒していたのだった。



だが、アランはその姿を見るなり、
悲痛とも取れる叫び声を上げた。
「OH!やっぱりジャミラ!」
「なんだって!?」
思わず振り向きアランの顔を見るムラマツキャップ。
だがアランはただ呆然と立ち尽くし、
おぞましい怪物=ジャミラをみつめるのだった。

「ジャミラ、お前・・・」
ムラマツキャップとハヤタ隊員がアランの顔を覗き込む。



アラシ隊員とイデ隊員が同時に飛び出した。
ジャミラ攻撃のため、接近を図る二人は、必死の形相で最前線へ向かい一気に走る。
ジャミラはその気配を察知した。
しかと二人の姿を確認すると、
なんとジャミラは二人に背を向け逃げ出したのだった。



「撃て!」
キャップの下に残ったハヤタ隊員のナパーム砲が、
イデ隊員の握り締めたスパイダーが、ジャミラの背中を襲った。
砲弾が体に当たるたび、ジャミラは悲しそうな鳴き声を上げ、
その大きな体を隠そうと必死に走った。



しかし、悲しそうなのはジャミラだけではなかった。
「ムッシュアラン、どうしたの?」
アランの様子にフジ隊員が気付き近寄った。
アランは泣いていた。
アランはなぜか、逃げるジャミラを見つめ泣いていたのだ。



「ざまあみろ!やれやれ!!」
イデ隊員は勢いに任せて攻め込んだ。
戦意の見えないジャミラではあるが、一度取り逃がした悔しさがある彼は、
ここで一気に片をつけようと息巻いた。

科特隊の怒涛の攻撃にジャミラも口から火炎を吐いて応戦する。
「ひるむな!撃て撃て!!」
あくまで強気のムラマツキャップ。科特隊の砲撃は激しさを増す。

しかしジャミラは威嚇の火炎を科特隊にむけて吐くと、次には俊敏な動きを見せ、
ついにその姿を隠したのであった。
「チクショウ、隠れやがったな」
悔しがるアラシ隊員。だがもう打つ手がない。
この樹海のような森林でこれ以上突き進むだけの装備もない。
ここは一時退却。科特隊はここにキャンプを張ることにした。

夜に入ってからも、科学特捜隊の探索は続けられた。
だがこの暗闇でジャミラの姿を発見するのは難しい。
ビートルから持ち出した照明を照らし、
全員はここに休息をとった。



凍てつく空気。照明が照らすメンバー達の影。
照明に映る町並みを見ながら、フジ隊員がそっとつぶやいた。
「この美しい星空だっていうのに、一体どの星から来たのかしら
 どうして国際平和会議を妨害しようとするのかしら」

その声が合図だったかのように会話が切り出された。
タバコをくゆらせていたムラマツキャップがアランを見た。
「ムッシュアラン。
 さっき、あなたは確かあの怪獣を見たとき、ジャミラと言いましたね
 ジャミラとは一体何なんですか?」
アランは苦悩の顔で話を始めた。



「ムッシュムラマツ、パリの本部で予測していた最悪の事態になりました」
「と言うと?」
パリ本部の危惧が当たったとすればそれは大変な事態ということだ。
ムラマツキャップは事の大きさを指し計り眉をひそめた。

アランは何がしかにためらい、苦悩の顔は変わらない。
ハヤタ隊員が立ち上がり、アランの前に歩み出た。
「ムッシュアラン、もうここまで来たんです。
 あいつの正体を教えてください」

ハヤタ隊員の問いにアランは重い口を開いた。
だがそれは、科特隊メンバーの想像をはるかに超えた、
恐ろしくも残酷な内容だったのである。

「諸君、あれは怪獣ではありません」
イデ隊員がアランの顔を見る。それは一体どういうことだ?
驚愕の話をアランは続けた。
「あれは、いや、彼は、我々と同じ人間なのです」
「そ・・・それは・・」
あまりの衝撃にさすがのムラマツキャップも言葉を失った。

それは、アメリカ、ソ連を中心に、
世界各国で宇宙競争が行われているころであった。
ある国で打ち上げられた人間衛星が、ついに帰ってこないという事件が起きた。
その宇宙飛行士の名が、ジャミラだったのである。

しかし、科学のため人間を犠牲にしたことが判ると大変だ。
その国は、ジャミラの乗った人間衛星の失敗を、
全世界にひた隠しに隠してきたのである。



「そうか・・・
 そしてそのジャミラの乗ったロケットは
 宇宙を漂流しているうちにどこかの星に流れ着いた。
 しかしその星には地球のような水も空気もない。
 だがジャミラはどうにかして生き延びた。
 しかし、その星の異常な気候風土の中で生きているうちに、
 あんな姿に変わってしまったというわけか」

隊員たちの動揺を誘ってはならないと、
冷静に振舞おうとするムラマツキャップではあったが、
その声、その唇は怒りを抑えきれずかすかに震えていた。

アランもまたムラマツキャップと同様だった。
「そうです。恐らく彼は何十年かかって、
 自分の乗ってきたロケットを作り変えたのでしょう。
 そして地球へ帰ってきたのです。
 地球の全人類に対する恨みと呪いの心だけを持って」

ただただスパイダーを握り締め、下を向き唇を噛むアラシ隊員。
その横でうなだれるイデ隊員。
重苦しい空気が一同を包む。

「オレ止めた!」
突然イデ隊員が立ち上がった。
「どうしたんだイデ」
アラシ隊員が見上げるが、イデ隊員はもう制御できなかった。
「オレ止めた!ジャミラと戦うの止めた!」
「何を言ってるんだ!」
立ち上がりイデ隊員の両肩を掴むアラシ隊員だが、
イデ隊員はその手を払いのけ、アラシ隊員をにらみつけた。



「放せよ、放せよ!
 よく考えてみりゃジャミラはおれたちの先輩じゃないか。
 その人と戦えるか!」
「しかしなあ」
「おいアラシ、おれたちだってなあ、おれたちだってなあ!
 いつジャミラと同じ運命になるか知れないんだぞ!」
なだめるアラシ隊員を振り払い、いつになく荒い言葉で食ってかかるイデ隊員は、
手にしていたマルス133をそのまま地面に叩きつけた。

「何をするんだ!」
アラシ隊員が睨みつける。
だがイデ隊員は今にも泣き出しそうな顔でアラシ隊員のそばから離れた。
「くそー・・・オレがこんなモノを考え出さなきゃよかったんだ。
 そうすりゃ、ジャミラは・・・ジャミラは・・・」

その光景を見ていたフジ隊員の目には涙が溢れ、
彼女は二人から顔をそらした。



ムラマツキャップも言葉がなかった。
彼もまた溢れる涙をこらえるだけで精一杯だったのである。

しかしアランは、そんな科特隊メンバーに追い討ちをかけるかのように、
人とは思えないような残酷な命令を発動した。

「諸君、改めて、科学特捜隊パリ本部からの命令を伝える」

決意を示した強く冷たいその口調につられ、
ハヤタ隊員が力なくアランのほうを振り向くと、
アランはついに、その残酷な命令を口にした。

「ジャミラの正体を明かすことなく、秘密裏に葬り去れ。
 宇宙から来た一匹の怪獣として葬り去れ。
 それが国際平和会議を成功させるただひとつの道だ」



(後編に続く)

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