漢詩(1)杜甫 高胼
1.水檻遣心  杜甫 
2.江村 杜甫   
3.山亭夏日 高駢
漢詩(2)  李商隠
1.夜雨寄北  
2.嫦娥  3.漢宮詞
4.登樂遊原  
5.錦瑟  6.瑤池 
杜甫の年譜
0.はじめに   
1.青年期    
2.長安仕官活動10年
3.仕官と安禄山の乱
4.官辞し乱を避て紀行
5.成都浣花渓草堂 
6.南国漂泊  

 杜甫李白を詠う

 王維ものがたり
1.生誕から26歳 

   












 ● 田園楽 七首

 ● もう川集 20首
李白ものがたり
 李白詩  
 李白ものがたり  
 杜甫を詠う2首と1首
王維・李白・杜甫  その時
杜甫10歳・李白21歳・王維23歳
杜甫25歳・李白36歳・王維38歳
杜甫35歳・李白46歳・王維48歳
    (安史の乱)
  ●安禄山の叛乱
  ●叛乱の背景
各時代の概略と詩人



4.唐時代と詩人
5.宋時代以降
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孟浩然の詩209 盛唐


209

7. 過故人莊(故人具鷄黍)

7. 過故人莊    孟浩然
故人具鷄黍,邀我至田家。
克村邊合,青山郭外斜。
開筵面場圃,把酒話桑麻。
待到重陽日,還來就菊花。

古い友人の村へ行く
昔なじみが、鶏(ニワトリ)と黍(きび)の料理を準備して、わたしは迎えてくれている農家についた。
緑の樹々が、村の周辺に繁り合って、青い山々が、城郭外にむかって斜めに連なって見えている。廊下の長い窓を開けて、穀類を乾燥させる庭に面して。酒を酌み交わし、桑や麻のことなどの農事を話題にしている。
待ち遠しい重陽の節(九月九日)、また訪れて、菊花酒を飲みたいものだ。





過故人莊
古い友人の村へ行く
 ・故人:昔からの友人。古いなじみ。 古い友人。 ・莊:村里。いなか。

故人具鷄黍
昔なじみが、鶏(ニワトリ)と黍(きび)の料理のもてなしを準備して。
 ・具:そろえる。支度をする。準備をする。 ・鷄黍:〔けいしょ〕ニワトリを殺し、きび飯をたいてもてなすこと。転じて、人を心からもてなすこと。

邀我至田家
わたしを農家に招いてくれたので行った。
 ・邀:〔えう〕まねく。呼ぶ。迎える。 ・至:行き着く。くる。 ・田家:〔でんか〕いなか家。農家。

克村邊合
緑の樹々が、村の周囲に繁り合わさって。
 ・村邊:村の周り。村はずれ。 ・合:合わさる。いっしょにする。ひとまとめにする。

青山郭外斜
青い山々が、城郭外(市外、郊外)に斜めに(連なって)見えている。
 ・郭外:城郭都市の外側。市外。郊外。

開軒面場圃
窓を開けて、穀類を乾燥させる庭に面して。
 ・軒:(長い廊下の)窓。「開筵」ともする。その場合は「酒宴(の筵)を開く」の意となる。 ・面:面する。向かう。 ・場圃:〔じょうほ〕農家の前の穀物を干す広場。家の前の穀物干し場。

把酒話桑麻
酒をとっては、桑や麻のことなどの農事を話題にしている。
 ・把酒:酒器を持つ。 ・話:話す。 ・桑麻:〔そうま〕桑(くわ)と麻(あさ)。(桑麻を植える所の意で、)田園。

待到重陽日
九月九日の重陽の節を待って。
 ・待到−:…になるのを待って。。 ・重陽:陰暦九月九日。九は陽の数の極みで、九が重なるから重陽という。この日、高い所に登り、家族を思い、菊酒を飲んで厄災を払う習わし。菊の節供。この日、茱萸(しゅゆ;zhu1yu2=かわはじかみ。ちょうせんごしゅゆ(朝鮮呉茱萸)。日本では、ぐみとしている。)の実を頭に挿して邪気を払うという後漢の桓景の故事に基づいた重陽の風習の一。

還來就菊花
また訪れて、菊花を愛で、菊花酒を飲みたいものだ。
 ・還:また。 ・就:つく。近づく。 ・菊花:重陽の日に吉祥を呼ぶとされて、珍重される花。

過故人莊    孟浩然
故人具鷄黍,邀我至田家。
克村邊合,青山郭外斜。
開筵面場圃,把酒話桑麻。
待到重陽日,還來就菊花。

故人の莊に過ぎる      
故人  鷄黍(けいしょ)を 具(そろ)へ,
我を邀(むか)へて 田家(でんか)に 至らしむ。
克  村邊(そんぺん)に 合(がっ)し,
青山  郭外(かくがい)に 斜めなり。
軒(けん)を開きて  場圃(じょうほ)に 面し,
酒を把(とり)て 桑麻(そうま) を 話す。
重陽(ちょうよう)の日を  待ち到り,
還(また)來(きた)りて 菊花(きくか)に就(つ)かん。




6. 宿桐廬江寄廣陵舊遊    孟浩然
山暝聽猿愁,滄江急夜流。
風鳴兩岸葉,月照一孤舟。
建コ非吾土,維揚憶舊遊。
還將兩行涙,遙寄海西頭。

「桐廬江に宿して 広陵の旧遊に寄す」
山は暗くなってもの悲しい猿の鳴き声を聽く、青々として深い川は急な流れで夜も流れている。
風は、兩岸の木の葉を鳴らして、月は、一人の旅人の孤舟を照らしている。
上述のような悲愴な感じが漂う)建コ(現・浙江省桐廬県の南)は、わたしの故郷・本拠地とするところではなく。
維揚(現・揚州)に昔出かけたときの人(この詩を差し出す相手のこと)のことを思い出している。
なおまた、二筋の涙をもって。 遙かに海西(江蘇省)のほとりのあなたの許(もと)に、この詩文を差しだそう。



桐廬江に宿して 廣陵の舊遊に寄す      
山 暝(くらく)して 猿愁を聽き,
滄江(そうかう) 急ぎて夜に流る。
風は鳴る 兩岸の葉  ,
月は照らす 一孤 舟(しゅう)。
建コ(けんとく)は 吾が土(と)に非ず,
維揚(いよう)は 舊遊を憶ふ。
還(また) 兩行の涙を將(もっ)て,
遙かに 海西(かいせい)の頭(ほとり)に寄す。

(悲愴な感じが漂う)建コ(現・浙江省桐廬県の南)は、わたしの故郷・本拠地とするところではなく、
維揚(現・揚州)に昔出かけたときの人(この詩を差し出す相手のこと)のことを思い出している。


「桐廬江沿いの街に(現・浙江省建コ市に来て)滞在していたが、旧友の居る広陵(現・江蘇省揚州市)を懐かしんで、そちら(揚州)に手紙で詩を送った。」
(浙江省建コ附近の桐廬江一帯は)山は暗くなって猿のもの悲しい鳴き声を聽き、青々として深い川は急な流れで夜も流れている。
風は、兩岸の木の葉を鳴らして、月は、一人の旅人の孤舟を照らしている。
なおまた、二筋の涙をもって、遙かに海西(江蘇省)のほとりのあなたの許(もと)に、この詩文を差しだそう。

解説

宿桐廬江寄廣陵舊遊
桐廬江沿いの現・浙江省建コ市に来て滞在していたが、旧友の居る広陵(現・江蘇省揚州市)を懐かしんで、そちら(揚州)に手紙で詩を送った。 *長安での仕官活動が不調に終わった後、江浙(江淮)を旅したときの作品。 ・宿:宿泊する。泊まる。 ・桐廬江:桐江のこと。銭塘江の中流。現・浙江省桐廬県境。杭州の西南80キロメートルのところ。 ・寄:手紙で詩を贈る。 ・廣陵:現・江蘇省揚州市の旧名。後出の「維揚」「海西頭」の指すところに同じ。 ・舊遊:古い交際。旧交。以前、共に遊んだことのある友だち。また、昔、そこに旅したこと。

山暝聽猿愁:(浙江省建コ附近の桐廬江一帯は)山は暗くなって猿のもの悲しい鳴き声を聽き。 ・暝:〔めい〕暗い。日が暮れる。 ・聽:耳をすまして聞く。聞き耳を立てて聞く。ここは「聞」とするのもあるが、その場合は「聞こえてくる」の意。 ・猿愁:猿のもの悲しい鳴き声。

滄江急夜流:青々として深い川は急な流れで夜も流れている。
 ・滄江:青い川。作者の今居るところの桐廬江を指す。 ・急:急な流れ。 ・夜流:夜にも流れる。

風鳴兩岸葉:風は、兩岸の木の葉を鳴らして。

月照一孤舟:月は、一人の旅人の孤舟を照らしている。 ・孤舟:ただ一つの舟。孤独な(人生の)旅人の形容。

建コ非吾土
上述のような悲愴な感じが漂う)建コ(現・浙江省桐廬県の南)は、わたしの故郷・本拠地とするところではなく。 ・建コ:現・浙江省建コ市。杭州の西南100余キロメートルのところ。前出・桐廬の南南西50キロメートルのところ。 ・非:(…は)…ではない。あらず。「A非B」の「A」「B」は名詞性の語。 ・吾土:わたしの居住するところ。 ・土:居住する。

維揚憶舊遊
維揚(現・揚州)に昔出かけたときの人(この詩を差し出す相手のこと)のことを思い出している。
 ・維揚:古代の揚州の発祥地で、現・江蘇省揚州市区の西部の地名に遺る。詩題中の「廣陵」や詩中の「海西頭」の指すところと実質上同じ。作者がこの詩を送った相手の居場所。「惟揚州」とあるのは「維揚」のことではなく、「惟(これ)、揚州」の意。維揚は、『史記本紀・夏本紀』「淮海維揚州:彭蠡既都,陽鳥所居。」とあるが、ここの「維」も「これ」の意。  ・憶:思い出す。また、思う。覚える。ここは、前者の意。

還將兩行涙
なおまた、二筋の涙をもって。
 ・還:なおまた。 ・將:…をもって。…を。文語の「以」に近い働きをする。 ・兩行涙:(両目からの)二筋の涙。 ・行:〔ぎょう〕すじ。

遙寄海西頭
遙かに海西(江蘇省)のほとりのあなたの許(もと)に、この詩文を差しだそう。
 ・遙寄:遥か遠くに手紙で詩を送る。 ・寄:手紙で(詩を)送る。 ・海西頭:現・江蘇省揚州市一帯。詩題中の「廣陵」や、詩中の「維揚」の指すところに同じ。作者がこの詩を送った相手の居場所。



唐・岑參の『西過渭州見渭水思秦川』
渭水東流去,何時到雍州。
憑添兩行涙,寄向故園流。