MEMO5  急戦定跡からの変化 (2)  (2003年記)

急戦定跡からの変化 1/2

急戦定跡からの変化 1/2

1989年棋聖戦、▲羽生善治VS△中田功戦より(段位・敬称略)。 上図は先手5七銀左・3七桂型急戦VS後手三間飛車で頻出する局面。

定跡では、以下△4五歩▲5五銀△4四銀▲同銀△同金▲2四歩△同歩▲2三歩△同飛▲3二銀、と進みます。 2003年時点では、この進行は振り飛車有利と言われているようです。 しかしさかのぼることおよそ14年、中田先生の指し手は以下の通り。

上図以下の指し手
△4六銀?!▲4四歩
△同 金  ▲4七歩
△5五銀  ▲2四歩
△同 歩  ▲4五銀
△4三歩  ▲5六歩
△2五歩  ▲5五歩
△2六歩  ▲3八銀(下図)

押さえ込みを図る△4六銀。現代の定跡になっていないことから、おそらくいい手ではないと思われます。 実際、本譜のように進み、得した銀で先手に冷静に▲3八銀と受けられた下図は、先手有利でしょう。以下、

△4五金  ▲同 桂
△4四角  ▲2九飛
△2七銀  ▲4九銀
△2八銀不成?!▲同 飛
△2七歩成

という金銀損のものすごい攻め。続きは次項へ。

急戦定跡からの変化 2/2

急戦定跡からの変化 2/2

1989年棋聖戦、▲羽生善治VS△中田功戦より(段位・敬称略)。前項の続き。 プロ的には金銀得でさすがに先手良しでしょうが、 アマチュア的には飛車を奪いにいってまだまだ難しい局面だと思います。羽生先生の寄せはさすがです。

上図以下の指し手
▲5三銀  △2八と
▲4四銀成 △2九飛
▲4三成銀 △3九と
▲5四歩  △4九と
▲2二角成 △4八と
▲6八金寄 △2二飛成
▲4四角  △2九竜
▲5二成銀! (下図)

華麗な銀のただ捨て。「終盤は駒の損得よりスピード」という格言どおりの寄せです。 以下、△同金▲5三歩成がすこぶる速くてきびしい。

三間飛車党としてはこんな光速の寄せを決められたくはないですが、 美濃囲いはこうやって寄せられてしまうといういい勉強になります。

なお、 「羽生の頭脳3 急戦、中飛車・三間飛車破り」 にこの将棋の棋譜および詳しい解説が載っていますので、興味ある方はご覧あれ。

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MEMO6  VS右四間・柳に風  (2003年記)

三間飛車のひとくちメモ 新館「VS右四間 華麗なるさばきの手筋」に移行しました。

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MEMO7  終盤・大山の受け (4)  (2003年記)

終盤・大山の受け 1/4

終盤・大山の受け 1/4

1982年、▲大山康晴VS△加藤一二三戦より(段位・敬称略)。 上図では、玉の堅さ、駒の損得、攻めのスピードという3大要素において振り飛車側がやや悪いように見えます。 手番を持っていることだけが主張点かもしれません。しかし、大山先生の受けは驚異的です。

上図以下の指し手
▲3八銀打 △6九竜
▲3七角! △同 馬
▲同 銀  △7八竜
▲4八桂  △6九角
▲9六角! △8七銀
▲同 角  △同 竜
▲同 竜  △同角成
▲2六桂(下図)

「攻め合いは負け」のように見えるので、自玉を堅めるということでしょうか。 わかっていても、自分クラスでは▲7三歩成として散りに行くでしょう。 そして、2度の角打ちが見事。わけがわからないうちに相手の攻めが遅くなっています。 しかもジリ貧の受けではなく、攻め駒もキープしています。続きは次項へ。

終盤・大山の受け 2/4

終盤・大山の受け 2/4

1982年、▲大山康晴VS△加藤一二三戦より(段位・敬称略)。前項の続き。 前項下図以下、後手の指し手は△6五馬。ここからの指し手も、大山ワールド炸裂といった感じです。

上図以下の指し手
▲5六銀! △同 馬
▲同 歩  △2五銀
▲3八銀! △6九飛
▲9一と! (下図)

根底にある考え方は、「ジリ貧の受けはだめ」ということでしょうか。 強気に▲5六銀と出て角をいただき、ジリ貧の心配がなくなったので▲3八銀と自陣に投資。 そして△6九飛に対しじっと▲9一と!正直この手は自分クラスにはわけがわかりません。 相手に有効な手がないのを見越して、絶妙のタイミングで受け駒の補給に出たという感じですか。 8一への飛車の打ち込みのスペースを作った、という意味もありそうです。 以下、

        △5八角
▲8一飛  △2六銀
▲同 歩  △4七桂
▲同 銀  △同角成
▲3八銀  △同 馬
▲同 金  △7一歩

と進行。続きは次項へ。

終盤・大山の受け 3/4

終盤・大山の受け 3/4

1982年、▲大山康晴VS△加藤一二三戦より(段位・敬称略)。前項の続き。 すったもんだの末、仕切り直しと言える上図。 このようなとらえどころのない漠然とした局面からの指し方は、まさに棋力が反映されるところでしょう。

上図以下の指し手
▲8七角! △4九飛成
▲3九香  △5八銀
▲7六角! △6七銀打
▲同 角  △同銀成
▲8四角! △5八成銀
▲4七銀 (下図)

▲7六角は角を打ったのではなく、8七の角を移動した手です。

解説が手元にないため、指し手の善悪はよくわかりませんが、「すごい」の一言。角の使い方が絶品です。 続きは次項へ。

終盤・大山の受け 4/4

終盤・大山の受け 4/4

1982年、▲大山康晴VS△加藤一二三戦より(段位・敬称略)。前項の続き。 加藤先生にミスが出て先手が大きな駒得になり、大山先生が必勝形となった上図。 ここからの指し手もため息が出ます。

上図以下の指し手
▲9六香!!△6二角
▲同 竜  △同 金
▲同角成  △8九飛
▲4九桂! △同 金
▲5一銀 (下図)

まで後手投了。友達をなくすので、▲9六香のような手はまねしないほうがいいかもしれません(笑)。 ともあれ、▲4九桂は次の一手初段コースで出題されそうな明快な決め手。 △同金と取らせて二枚飛車の利きを重くすれば、あっという間に自玉のゼット形 (持ち駒がいくらあっても絶対詰まない形)が完成。 あとは物量にものを言わせて適当に駒を打っていくだけでも相手玉は寄りです。

以上、お腹一杯の大山将棋でした。強すぎる!でもまねしないほうがいいかも(笑)。 こんな指し回し、常人には指しこなせません。

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MEMO8  VS右四間・穴熊封じ (2)

VS右四間・穴熊封じ 1/2

VS右四間・穴熊封じ 1/2

1998年竜王戦、▲藤井猛VS△谷川浩司戦より(段位・敬称略)。 厳密には先手は三間飛車ではなく四間飛車ですが、とても参考になるので紹介します。

今後手が右四間飛車で急戦を見せてから、穴熊に囲おうと角を上がったところ。 ここからの振り飛車側の指し手が見事。

上図以下の指し手
▲9六歩  △2二玉
▲7八飛  △6五歩
▲同 歩  △8八角成
▲同 飛  △3三角
▲7七角  △6五銀
▲6六歩  (下図)

▲9六歩の意味は、後手に△2二玉とさせてから飛車を7八に寄ろうということ。 つまり本譜のように、後手の仕掛けに対して王手飛車含みで受けようというものです。 下図以下、△6六同銀には▲同銀△同角▲同角△同飛▲5五角となります。 したがって下図以下谷川先生は△5四銀と引かざるを得ませんでした。 相手が仕掛けてこなかった場合、7八飛の形から石田流の速攻を見せて作戦勝ちが見込めそうです。 続きは次項へ。

VS右四間・穴熊封じ 2/2

VS右四間・穴熊封じ 2/2

1998年竜王戦、▲藤井猛VS△谷川浩司戦より(段位・敬称略)。前項の続き。 後手の△5四銀の自重に対し、先手は反撃に出ます。 ゆっくりしていると後手に穴熊に囲われてしまうからです。

上図以下の指し手
▲8六歩  △3二金上
▲8五歩  △6四飛
▲8四歩  △同 歩
▲5六銀  △9四歩
▲6五歩  (下図)

8筋を伸ばしていくのがすごぶる厳しい。後手は△6四飛として浮き飛車で受けようとしましたが、 かまわず突き捨てから▲5六銀が好手。8筋が受かりません。

以下、先手の飛車成りが実現し、短手数で藤井先生の勝利となりました。

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