MEMO17  古典的攻防 出題編  (2004年記)

古典的攻防 出題編

第1図は、後手三間飛車△4三銀型に対する居飛車急戦▲6八銀・▲4六歩・▲3七桂型。 今では全く見かけなくなったといっても過言ではない局面ですが、 20年位前は、▲居飛車急戦VS△三間飛車における代表的な形でした。 ここから先手は仕掛けます。

第1図以下の指し手
▲4五歩  △4二飛
▲4四歩  △同 銀
▲2四歩  △同 歩
▲4五歩  (第2図)

対四間飛車の▲4五歩早仕掛けとほぼ同等ですね。 第2図以下、△4五同銀と△5三銀の2つがありますが、どちらが勝るでしょうか。

第2図以下の指し手
        △5三銀
▲3三角成 △同 桂
▲2四飛  △4五桂
▲同 桂  △同 飛
▲2一飛成  (第3図)

第2図以下、△4五同銀だと ▲同桂△同飛▲3三角成△同桂▲2四飛△1五角▲2一飛成△4八角成▲同金△同飛成▲2六角! で後手不利です。次に▲7一角打の狙いがあります。

というわけで、△5三銀が正解。以下自然に手が進んでむかえた第3図。 結論から言うと、この局面は振り飛車有利です。 次の一手は限られていますが、先の変化は膨大で、非常に難問です。 優勢を維持するにはどう指し回すべきでしょうか。 「古典的攻防 誤答編」に続きます。

なおこれは、 「先手三間飛車破り―急戦で仕掛ける攻略法を徹底解説」(青野照市先生著) や、 「三間飛車ガイド (週将ブックス―定跡百科)」 で解説されている定跡手順を参考にしています。

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MEMO18  古典的攻防 誤答編 (4)  (2004年記)

古典的攻防 誤答編 1/4

古典的攻防 誤答編 1/4

「古典的攻防 出題編」に続いて、まずは「誤答編」を説明します。

舟囲いを攻めるには、縦の攻めを仕掛けることになります。 そこで、前項の問題図以下△4六桂打(第1図)から成桂を作って先手陣をいじめていく筋が考えられます。 理想的なのは次のような展開です。

第1図以下の指し手(その1)
▲5九金引 △3八桂成
▲5七銀右 △4六歩
▲4八歩  △同成桂!
▲同 銀  △4七歩成 (勝手読み図)

▲5九金引と引いておくのがおそらく第一感に見えますが、これには上記のように進めて振り飛車優勢。 ▲4八歩の受けに対し、△4八同桂成とあっさり捨ててから、と金を作るのが好手順です。 もし対戦相手がこの手順に気付かなかった場合、居飛車良しと勘違いして金を引いてくれるかもしれません。

しかし相手が強い場合は、こううまくはいきません。

第1図以下の指し手(その2)
▲5七金! △3八桂成
▲4七銀  △4八成桂
▲4六銀  △4三飛
▲3二角  △4二飛
▲4五桂  △4四銀
▲4一角成!  (第2図)

▲5七金、と力強く上がるのが好手。以下成桂の動きに合わせて右銀を盛り上げていく構想です。 ▲4六銀に対し△4二飛には▲4五桂△4四銀▲1五角!があるので△4三飛ですが、 これには▲3二角〜▲4五桂から最後の▲4一角成!がまた好手。 飛車取りからの二枚飛車の攻めに対抗できる速い攻めが、振り飛車側にはありません。

自分の解答手と違った、とホッとしている方へ。次項では、誤答編その2を紹介します(笑)。

古典的攻防 誤答編 2/4

古典的攻防 誤答編 2/4

誤答編その2です。桂打ちがだめなら歩打ち、ということで△4七歩(第3図)を思い浮かべた方が多いと思います。

第3図以下の指し手(その1)
▲4七同金 △4六歩
▲5七金  △6五桂
▲5八金引 △3八角
▲3七桂  △4二飛
▲4五歩  △5六角成 (まずま図)

これは難解な形勢です。 「三間飛車ガイド」 では、まずま図以下▲8八角△3五歩▲2六龍が一例で難解と述べられ、また 「先手三間飛車破り」 では、まずま図以下▲3三角と打ち、次の▲1一角成や▲5七歩から馬を追っての▲6六歩で桂を取る手を見せて先手良し、としています。 後者は「振り飛車破り」本であるため、形勢がやや居飛車寄りに傾いている可能性があり、鵜呑みにはできませんが、 振り飛車良しと言い切れないのは間違いないようです。

また、第3図以下の指し手として以下のような手順も考えられます。 いわゆる「ダンスの歩」と呼ばれる有名な手筋です。

第3図以下の指し手(その2)
▲4七同金 △4六歩
▲5七金  △6五桂
▲5八金引 △4七歩成
▲同 銀  △4六歩
▲3八銀  △4七角 (第4図)

先ほどとの違いは、△3八角に代えて歩を成り捨てている点で、以下再度の歩打ちから△4七角と打ち込みます。

第4図となって、部分的には居飛車陣が崩壊していますが、うまい切り返しを食らいます。続きは次項へ。

古典的攻防 誤答編 3/4

古典的攻防 誤答編 3/4

前項の第4図からの続きです。 「ダンスの歩」の効果で3八の銀が浮いており、手抜きができない形ですが・・・

第4図以下の指し手
▲3七桂! △4二飛
▲4七金! △同歩成
▲4三歩  (第5図)

桂打ちで拠点を作ってから、金で角を取るのが好手。 銀で取ると、△同歩成の形が5八の金取りを見せてさらに勢いづきます。

第5図以下の指し手
        △4三同飛
▲4四歩  △同 飛
▲4五歩  △4三飛
▲4七銀  △4六歩
▲同 銀  △4七金
▲4四歩!  (第6図)

最後の▲4四歩の突き出しが絶妙。 以下、△4四同銀(△同飛は▲4五銀)▲3二角△4二飛▲5四角成△4六金▲6五馬で居飛車良し。

また、第6図までの手順中、▲4五歩に対し手抜きで△38と、はそっぽで振り飛車勝てません。 これが▲4七同金の効果です。 また、△4三飛のところ△4二飛は、進んで△4七金に対して▲2四角!があります。

「ダンスの歩」は非常に有名かつ有効な手筋ですが、 この局面では大局的に見てたまたまうまくいかなかった、ということです。 うまくいきそうな局面を見極めて使っていけば、棋力アップ間違い無しですので覚えておくと良いでしょう。

続いて、もう1つ誤答例を紹介します。これが最後の誤答例です。 これまた部分的には非常に有効な手筋で、とても勉強になると思います。

古典的攻防 誤答編 4/4

古典的攻防 誤答編 4/4

△4六桂、△4七歩に続く3つ目の誤答は、△9五歩(第7図)です。 真っ直ぐ4筋の攻めがだめなら端っこの攻め、というわけで三歩の持駒を活かしての端攻め。 これも部分的には非常に有効で、参考になる攻めです。

第7図以下の指し手
▲9五同歩 △9八歩
▲同 香  △9七歩
▲同 香  △9六歩
▲同 香  △7四角 (第8図)

まで振り飛車良しではないか、というのは勝手読み。 確かに部分的には香取りが受からず決まっているのですが、居飛車側からうまい切り返しがあります。

第8図以下の指し手
▲4六歩! △同 飛
▲9四桂!  (第9図)

飛車を4六に誘ってからの▲9四桂が絶妙。 これに対し△9三玉と△9二玉は▲6一飛成△同銀▲7一角で終了(前者は詰み、後者は必死)。 △7一玉には▲8二角△6二玉▲9一角成で居飛車だいぶ良しでしょう。 というわけで△9四同香しかありませんが、▲同歩と取れば、 以下△9六角には▲9三歩成!があります(▲5七角の王手飛車狙い)。

となると、戻って▲4六歩のところで飛車を逃げるしかありませんが、 縦横どちらに逃げても飛車を目標にされるか、飛車が使えなくなります。 △4三飛や△4二飛と逃げたときの居飛車側の攻めについては、前項までの手順が参考になると思います。

というわけで、△9五歩からの端攻めは、飛車いじめを含みとした切り返しにより居飛車が良くなる、というわけです。

次の「古典的攻防 解答編」で、正解手を紹介します。 他に手が思い浮かばない、という方もいらっしゃるかもしれませんが、 あるんですよ、振り飛車らしい趣のある一手が・・・。

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MEMO19  古典的攻防 解答編 (3)  (2004年記)

古典的攻防 解答編 1/3

古典的攻防 解答編 1/3

「古典的攻防 出題編」に対する正解手の発表です。 敵陣に当たりを付けるのではなく、悠然と△6四角(解答図)と角を打っておくのが正解となります。 狙いとして、香取りの△1九角成はもちろんですが、それよりも続く△6四馬が急所となります。 ここに馬を引かれては居飛車が相当勝ちにくい( 「先手三間飛車破り」 より)のです。

具体的な手順を示すと、△6四角以下▲3三角△1九角成▲1一角成△6四馬(第1図)の展開は振り飛車良し。 この局面は問題図よりも条件が優れているので、以下の居飛車側の指し手に合わせて、 ダンスの歩、 △4六桂、端攻めなどを適宜仕掛ければよいわけです。

さて△6四角に対する▲3三角に代えて、角成りを防ぐ▲3七桂△4二飛(第2図)以下の展開が、変化が多岐に渡ります。第2図から、居飛車には次の3つの手段が考えられます。

@▲3三角
A▲4五歩
B▲4七歩

これらすべてで振り飛車良しとできますでしょうか。 これがわからないと、本当に正解した、理解したとは言えません。 これらの変化について次項以降で解説していきたいと思います。

古典的攻防 解答編 2/3

古典的攻防 解答編 2/3

前項第2図から、まず@▲3三角(第3図)について解説します。 飛車取りですが、4二の位置で飛車を取られても△4二同銀で振り飛車陣は安定しており、おそるるに足りません。

第3図以下の指し手
        △4七歩!
▲4二角成 △同 銀
▲4七金  △4六歩
▲5七金  △6五桂 (第4図)

この形では、「ダンスの歩」含みの△4七歩打が非常に効果的な攻めとなります。 ▲4二角成に代えて▲4七同金は、△同飛成!▲同銀△3七角成で振り飛車良し。 したがって飛車を取ってから▲4七金とせざるをえず、むかえた第4図ですが。

第4図以下の指し手
▲6六金  △4七歩成
▲6五金  △4八と
▲6四金  △同 歩 (第5図)

美濃囲いは鉄壁、そして4八のと金の存在が大きく、第5図は振り飛車良しとなります。 なお▲6六金に代えて▲5八金引は、△4七歩成!で「ダンスの歩」がついに理想的な形で実現することになります。

さて、前項第2図に戻って、第2の選択肢A▲4五歩に関しては、 △4七歩でも△4六桂でもどちらでも振り飛車良しとなります。 ちなみに前者は「三間飛車ガイド」、後者は「先手三間飛車破り」で触れられています。 それぞれの攻め筋に関してはこれまで述べた通りです。図は省略します。

次項では、最後の選択肢B▲4七歩について説明します。

古典的攻防 解答編 3/3

古典的攻防 解答編 3/3

いよいよ最後、前々項第2図からB▲4七歩(第6図)とした変化について説明します。 この手が居飛車から見て最も我慢した手で、有力な手と言えますが、振り飛車側が良くなります。

第6図以下の指し手
        △3五歩!
▲2六龍  △3六歩
▲同 竜  △4四桂 (第7図)

これまで出てこなかった筋ですが、▲4七歩と4筋をフタされた場合は、 3筋から△3五歩として桂頭をいじめるのが急所。 竜を引いて受けるしかありませんが、かまわず△3六歩から△4四桂として、 以下▲2六龍には△3六歩、▲3一竜には△5六桂として振り飛車十分となります。

ひたむきに攻めたり、相手を押さえ込んだりする手ばかりではなく、 正解手△6四角のような「奥ゆかしい一手」が中盤随所に潜む・・・ これが、三間飛車のみならず「振り飛車戦法」の魅力の1つだと私は感じます。

以上で「古典的攻防」を終わります。

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MEMO20  VS腰掛銀急戦 (3)  (2004年記)

VS腰掛銀急戦 1/3

VS腰掛銀急戦 1/3

1997年、▲藤井 猛VS△勝浦 修戦より(段位・敬称略)。第1図は後手が△6四歩と突いたところ。 すでに△8五歩と飛車先を突きこしているので、これは右四間飛車の構想ではなく、△6五歩から角交換〜8筋突破が後手の主な狙いといえます。

第1図から▲2八玉のような手だと、いきなり△6五歩とされ、以下▲同歩△7七角成▲同銀△6七角で振り飛車不満か。 6七の地点には気を付けましょう。

第1図以下の指し手
▲5八金左 △6三銀
▲2八玉  △7四歩
▲5六歩  △9四歩
▲9六歩  △5四銀
▲5七銀  (第2図)

▲5八金左として6七の地点をケアしておくのが、余計な乱戦を生まない自然な一手です。 これなら角交換を挑まれても▲7七同銀で全く問題なし。

最後の▲5七銀(第2図)に対し△6五歩と突かれた場合は、▲6八飛として逆に6筋からさばく展開に持ち込めます。 後手はこれをきらい、別の構想を立ててきました。

第2図以下の指し手
        △7二飛
▲9七香! △7五歩
▲同 歩  △同 飛
▲6五歩  (第3図)

腰掛銀から△7二飛として袖飛車を狙うのも、有名な構想の1つです。 これに対する▲9七香が、さばき合いの決戦の前に香を角のラインから避け、軽い形にしておく有効な一手。 9筋の突き合いは後手としては不要だったかも知れません。

以下居飛車の7筋歩交換に対し、6筋を突いてさばきを狙うのが振り飛車の常套手段です。続きは次項へ。

VS腰掛銀急戦 2/3

VS腰掛銀急戦 2/3

前項の続き。前項第3図から△7七角成▲同飛△7六歩▲7八飛△8六歩▲同歩△8七角と進んで迎えた本項第4図。 押さえ込まれ、振り飛車側が苦しく見える第4図ですが。

第4図以下の指し手
▲7九飛  △6五飛
▲7四角  △8八歩
▲6五角  △同 歩
▲7一飛  △9八角打
▲6四歩  (第5図)

飛車を横に逃げるのは△7七歩成とされるので、先手の▲7九飛は絶対の一手。 続いて、▲6六角(飛車香取り)があるので後手は△6五飛としました(△6五歩には▲6四角)が、これに対しても飛車取りの▲7四角。 以下△6九飛成では▲同飛△同角成▲8二飛で攻守逆転してしまうので、飛車を見捨てて△8八歩。

最後の△9八角打のところ、△8九歩成には▲7六飛と出てさばいて振り飛車有利。 とはいえ本譜の進行も二枚角がいかにも重い形で、以下後手は二枚角を活用するのに腐心することになりました。

最後の▲6四歩は、単に攻めのポテンシャルを蓄えるための手ではなく、 ▲5五歩△同銀▲6三歩成!△同金▲7二飛成!(金取りが受からない)といういきなりの攻めも狙っています。 うっかりしやすい面白い手筋です。続きは次項へ。

VS腰掛銀急戦 3/3

VS腰掛銀急戦 3/3

前項の続き。前項第5図から△8九歩成▲5九飛△7七歩成と進んでむかえた本項第6図。 以下、と金攻めを恐れて▲7七同竜では、△7六角成と竜を押さえ込まれてまずそうです。そこで、先手は前項で述べた手筋で攻めます。

第6図以下の指し手
▲5五歩  △同 銀
▲6三歩成 △同 金
▲7二飛成 △4二銀
▲6三竜  △6六歩
▲5六歩  (第7図)

2枚目のと金作りを目指す△6六歩に対し、強く▲5六歩。弱気に▲6六同銀では、△6二歩▲同竜△5一金で後手良しか (以下▲5一同竜△同銀▲5五銀の2枚替えは、駒得ながら先手の飛車が隠居していることもあり、先手攻めきれなそう)。

本譜は激しい駒の取り合いとなります。

第7図以下の指し手
        △6七歩成
▲5五歩  △5七と
▲同 金  △5二銀
▲7二竜! △6八と
▲6二金! (第8図)

△5二銀に対し、竜が6筋から離れる手は素人目には指しにくい(△6八とがあるため)ですが、読み切りの▲7二竜。 なるほど指されてみれば納得ですが、△6八とに▲6二金と打てば、次の▲5二金からの駒得の攻めが受かりません。 余計な先入観があるとなかなか指しにくい、うまい攻めだと感じます。

第8図以下、△5九と▲同金△4四歩(△4三角成の粘りを狙った手)▲5二金△同金▲同竜 と進んでようやく激しい駒取り合戦が終了となりましたが、美濃囲いの堅さ・遠さのおかげで先手やや良しの局面といえそうです。 結果も先手・藤井先生の勝ち。

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