5.表面電位と肉体の再生


 人の体をどのように捉えるかという観点で読み進めると人体のシステムは電気的なものである、という考え方が出てきます。これは一見馴染みのある考え方です が、38節〜45節で詳しく見ていくことにします。


Sketch
 ――人体のシステムが進化的な成長を起こすにはいくつかの段階を経ることになります。それは神経細胞を支える「基礎組織」の段階的変化です。ここでいう基礎組織というのは繊維組織(Glia)、不随体部分(Satellite)、およびシュワン細胞(Schwann cells)です。人体のシステムが電気的であるということを示す例として骨の生育というものがあります。これは骨の機械的な圧迫に対する反応のことであり、特に骨折において顕著です。骨折というのは電気を用いた制御システムの特徴として実証されています。「直流電位」というものは将来的に神経システムと関連する「複合的な領域パターン」を実証することになります。これらの関連は空間的なものです。「直流電位」というのは有機体の表面・皮膚において計測可能であ り、これを「表面電位」と呼びます。有機体におけるデータ伝達と制御のメカニズムはこれまで、神経における活動電位、化学的作因、DNA-RNAシステムに制限されてきましたが、表面電位は直接、様々な循環システムと関わっています。表面と内部の両方の構造が「五次元の循環システム」とつながったとき、肉体の表面は単なる肌の細胞であることをやめてプログラム可能になります。五次元の循環システムというのは経絡を通して働いている肉体内部の電流とつながっており、肉体における「活動電位システム」を形作っているもととなっているものです。肉体の「活動電位システム」というのはつまり、直流電位の下位層に存在するということです。こうして肉体の「活動電位システム」に先在する直流電位というものは生物の基本的固有性に係る制御機能を統括します。ここに新しい関節、器官、組織といったものが生み出されることになります。――


Word
※電気関係用語について
「直流(direct current)」、「電位(electric potential)」等の単語は簡単に調べることができるので割愛します。

雑音温度(Noise Temperature
 雑音には熱雑音、インパルス雑音等さまざまな種類がありますが、ここで取り上げられているのは「熱雑音」についてです。熱雑音というのは抵抗体内に発生する電子の不規則な熱振動によって生じる雑音のことです。雑音が発生する際には同時に非常に微弱ですが電力も発生します。その雑音電力の大きさは抵抗体の物理温度にほぼ比例するのでこの雑音電力のことを雑音温度と呼びます。ただ、現在、熱雑音として取り上げられる対象とは通信システムや電子デバイスの素子といった抵抗体であり、3-1-7では肉体です。いずれは肉体の理解のための重要な研究分野となるが、現在は途上である、と理解したいと思います。

※それぞれの細胞について説明します。Gliaというのは神経膠(こう)と呼ばれ、  「脳、脊髄などの中枢神経系の主要組織を支え、結合する細い線維[微細網状]組織」です。Satelliteは(染色体の先端)付随体部分です。Schwann cellsというのは 「末梢(まっしょう)神経線維を取り囲む細胞」です。


補説
 骨折とその治癒の過程における活動電位ついての証明あるいは皮膚表面の電気抵抗で経絡の存在を証明することなどは現在すでに行われているように思います。ここではさらに皮膚表面の活動電位と皮膚下内部の構造とを併せた治癒及び再生のしくみに言及しています。もう少しまとめると、皮膚表面電位と内部電位の関わりは神経システムやDNA-RNAシステムだけではなく、さまざまな循環システムとの関わりを意味しており、これは複合的な領域で行われている活動電位システムのことである、と述べています。また、このシステムが「五次元の循環システム」とつながったとき、肉体はいかようにも変更可能である、と述べています。
 ここでいう「複合的な領域パターン」を現在の我々の知っている手法で証明することは極めて困難であるように思います。これ以降も「五次元の循環システム」とはなんなのか、については具体的言及はありませんが、「五次元の循環システム」との関わりで働く仕組みについて述べられています。詳しく見ていきたいと思います。